【
前回の続き】
「子供が欲しい」
と思ったらまずはタイミング療法。
排卵期くらいに病院に行き、卵の大きさを見てもらって
「この日くらいがいいよ」と教えてくれる。
頑張るぞ!!と意気込んでいた私。
だけどきっとサルは違ってたんだ。
そういうサルの気持ちにも気付けなかった。
同じ方向を見ているんだと思っていた。
なかなか赤ちゃんはできず
毎月 がっかりする日々が続く。
それがストレスになって家庭内がピリピリすることも多くなった。
サルも迷っていた。
不安定な仕事に不安定な生活。
ここに子供ができたら・・って思うと
きっと不安だったと思う。
だけど、私は子供が原動力になると思い込んでいたから
病院に通った。
そしていつしか 喧嘩や話し合いが多くなる。
そんなおかしな毎日になっていることにも気付けなかった。
夫婦は少しずつ ゆっくりゆっくりと 心がすれ違っていく。
すれ違っていることにも気付かないほどのスピードで。
今思っても あの時ほど悲しくて せつなかった日々はなかった。
(違う種類のツラさはあったけど)(笑)
あれほど積み重ねてきた日々は何だったんだろう。
一緒に笑って 泣いて ここまできたのは何だったんだろう。
話をしても 一緒にいても
心は遠くにいる気がした。
サルの考えてること 思ってることがまったくわらかなかった。
何が起こったのかもわからなかった。
夫婦ってこんなにもろいものだったんだ。
私はいったい 何のために こんな場所にまで来たんだろう。
暗いトンネルに入り込んだようだった。
何もかも 色を亡くしたように 意味をなさなかった。
楽しいことなんて 何もない気がした。
どうやって生きていったらいいかもわからなかった。
今、この時のことを二人で思い出すことがある。
お互い、どうしてあんな風になったのか いまだにわからないと感じている。
だけど、心がすれ違うってことを 身をもって体験した。
私たちにとって とても大切な経験になったと今は思う。
今は それは思い出話だけれど
その時は もう真っ暗闇で 孤独で
「生きているのもつらい」と思った。
だけど、暗いトンネルでも いつかは出られる。
それが案外小さなきっかけで。
【つづく】
とら
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