【
前回のつづき】
台風が沖縄に上陸して飛行機が飛ばない。
だけど、台湾は台風らしさはまったくなく 快晴だった。
何だか得をした気分。
私たちはせっかくなので台湾観光をした。
美味しいラーメンを食べたり 買い物をしたり 夜市に行ったり
今、沖縄が大変なことになっているなんて想像もつかなかった。
シロ・・・・大丈夫???
家はどうなっているんだろう。
どんなに不安に思っても 連絡を取る家族も知り合いもいない。
沖縄に残している家族はシロだけだった。
なんだか少し孤独な気分だった。
自由っていうのは 孤独でもあるのかもしれない。
そうして一日が過ぎ、本当にもう帰りたい気持ちでいっぱいだった。
なのに・・・・
翌日も飛行機は飛ばない・・・・・
もう台湾料理にも随分飽きてきていた。
沖縄に帰りたい・・・・
そう思うばっかりだった。
最終日は何をしたのかも覚えていない。
ぶっちゃけ 貧乏だったし、そんな海外旅行なんて大したこともできない。
もちろん、衣食住には困らないだけありがたいんだけど・・・。
3日目。
ようやく飛行機が飛んだ。
帰ってきた沖縄は 家は無事だったものの、
近所の木が倒れたり、庭には落ち葉だらけだったりと
大きな台風だったんだなと思わせた。
結局私たちが沖縄に住んでいる間は、この時ほど大きな台風は来なかった。
メンバーは戸が飛んでなくなったと言っていた。
どんな台風だったんだろう。
知っているのはシロだけなんだけど
話してもらうこともできず・・・・。
帰ってすぐに迎えに行ったシロは
大喜びで さんざん興奮した後 ぐっすりと寝ていた。
ようやく沖縄に帰ってこれて
シロに会えて それだけで満足だった。
でも、なんだか台湾から帰って
私もサルも 気が抜けていた。
それは、生活が落ち着かないことの不安なのか
安定した仕事を捨てたことの後悔なのか
のんびりした毎日への焦りなのか
その全部なのか。
だけど、 口に出したら なんだか恐ろしいことになりそうで
私もサルも そこには触れずにいた。
沖縄の夏はこれからが本番だった。
ギラギラと輝く太陽は 憂欝な気分を忘れさせてくれるには十分だった。
【つづく】
とら
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