【
前回の続き】
求人はサルのやりたい仕事だった。
ちょうどイベントも大きなものが終わって仕事がなくなっていたから
迷うことなく 採用試験を受けた。
ありがたいことに採用され
サルは毎日出勤するようになった。
時間が不規則な仕事だったけど
仕事をすることで休みも充実し
また穏やかな日々を過ごせるようになった。
シロを連れて海に行ったり
海でビーチグラスを拾ったり
おいしいタコスやソーキそばを食べたり♪
沖縄に来て初めて安定した気がした。
やっぱり 「不安定」は怖い。
だから人は「安定」を求めるんだ。
それはきっと 自然なこと。
だけど、観光業が多い沖縄。
仕事が時々途切れたりと本土に比べて不安定だった。
給料は沖縄にしてはまだ良いほうだったけれど
仕事が途切れるという状態に慣れないサルは
少しずつ また違う種類の不安に飲み込まれていく。
沖縄の仕事は「雨が降ったらお休みで~♪」
というような仕事は少なくない。
季節や天気によって仕事が多かったり少なかったりするのだ。
だけど、本土で育った私たちにとっては
仕事が途切れるというのは 何とも居心地が悪い感覚だった。
まぁ のちにそういうことも全く平気になるんだけれど
それはもっと後の話。
そして いつの間にか沖縄も冬になる・・・
私たちにとっては とても暖かいクリスマスとお正月♪
家の中は 小さな電気ストーブ一個だけ。
大きな冬布団もいらないし
こたつもいらない。
ファンヒーターも石油ストーブもいらない。
Tシャツにトレーナー その上にパーカーかウインドブレーカーがあれば外でも十分だし
息が白くなったり 手がかじかんだりすることもない。
冬が苦手なバカ夫婦にとっては 本当にパラダイスだった。
でも、時々寒いと感じるのは 風。
海から冷たい風が吹くと
そのときだけは寒かった。
今思えば 沖縄はいつも風が吹いていた。
さとうきび畑は歌のようにザワザワしていたし
島自体が呼吸をしているような感じだった。
冬らしくない冬に感動しながら
新しい年を迎える。
この年がとてもツライ年になるとは知らずに。
【つづく】
とら
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