8月もそろそろ後半。
シロは今日も頑張っている。
随分動きが鈍くなってきた。
呼びかけてからの反応も遅い。
顔の腫れはひどくなり、左目はとても小さくなった。
その小さな左目を膿が覆う。
朝起きたときは完全に膿で目が塞がっている・・・
出血も多く、痛みもキツそうだ。
ピクっとする回数が増えた。
それでも食事や散歩はする。
歩くペースは本当にトボトボだけど
「もっと行こう!」と意思表示をする。
最近は散歩をしていて
「随分年をとってるね」という風なことを言われる。
たしかに秋には13歳だ。
老犬には違いない。
だけど、そう言われるのは腫瘍のせいだった。
だって、数ヶ月前までは「3歳か5歳くらい?」
「綺麗な犬だね」
そう言われていたのだから。
でも、今のシロはお世辞にも綺麗な犬とはいえない。
身体のあちこちに血の跡が茶色く付いているし
目やにも出ている。
そして、目はショボショボし
キラキラとした犬特有のエネルギーは
生命維持にだけ使われているようだった。
もちろん、目やにも拭いて、血の汚れも取っているんだけど
今のシロは顔の周りを触るだけでも
痛がったり怖がったりする。
そして、撫でるだけでもシロを疲れさせているかもしれなかった。
もう、余命を宣告されてから10ヶ月を超えている。
そうなるのも当然だろう。
『副作用が出るまで生きる保証はありません。』
と言われたステロイドも
随分長く飲んでいるので、先生と相談して、少しずつ減らすことになった。
副作用が起きるかもしれないほど長生きをしたシロ。
きっと先生だって驚いているに違いない。
見た目には、もう歩けなくなってもおかしくないような症状のシロは
まだ歩くし
他の犬にも吠えるし
尻尾も振れるし
好きな子に会うと喜ぶ。
シロは今も幸せなのだろうか?
もし、苦痛しかないのなら・・・
楽にさせてあげたい。
それとも、シロの生きる強さは
幸せから来てるのだろうか?
いや・・
おそらくここまで来たら
幸せなど感じないかもしれない。
きっと、動物として、生命として
心臓が動くから
呼吸が続くから
生きているのかもしれない。
シロの命が燃え尽きるまで・・・・
最期のその時まで・・・
重い身体を起こして
必死で呼吸をして
それでも、私達の傍で眠る
そんなシロが本当にかわいい。
いつも見る白い背中。
呼吸をするたびにお腹が動く。
時々眠りながら足を動かす。
カチャ カチャ カチャ・・・
きっと夢で走っているんだろう。
夢の中では走れるんだろう。
そんなシロの姿は
本当に愛おしくて。
この眠りを守ってあげたくて。
足音を忍ばせてシロの傍を通る。
起こさないように
起こさないように
とら
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