続き・・・
2010年、新年を迎えて、私達は「覚悟」をした。
先生が10月に「あと2、3ヶ月でしょう」と言ったのだから
それなら1月の後半くらいになる。
「覚悟」といっても、カッコイイもんじゃなく
シロの出血が増えたらすぐにオロオロしていた。
シロのくしゃみで目が覚め、夢にはいつもシロが出てきた。
少し神経質になっているのかもしれない。
でも、脳に転移したら、数日で命をなくすかもしれないシロのことを思うと
頭と心の中はシロでいっぱいになった。
目が見えなくなるのか
鼻が利かなくなるのか
記憶がなくなるのか
性格が変わるのか
食べられなくなるのか
眠れなくなるのか
息ができなくなるのか
転移する場所によって症状は違うらしい。
実際出血は増えた。
しっぽで鼻を押さえて寝ているシロ。
そのしっぽは血で真っ赤だった。
寝床にも、壁にも血がいっぱい付くようになった。
どうなる・・・??
正直怖い。
でも、そんな心配はよそにシロの食欲は相変わらずで
鼻血で赤くなった鼻をすりよせて
ひざにあごを乗せてくる。
「おかし頂戴♪」
目はキラキラしている。
散歩も大好きで、力いっぱい歩く。
北風の日も
雪の日も
ぐいぐいと引っ張って
「行こうよ 行こうよ♪」
シロは元気だった。
いつの間にか「その日」は過ぎた。
これからは、もらった命だと思うことにした。
神様、ありがとう・・・・!!
シロ本人は、余命なんて知る由もなく
「鼻腔内腫瘍」だなんて病名も知らない。
「なんで鼻血が出るんだろう?」
申し訳なさそうに、寝床に着いた血を舐める。
その姿が けなげで、涙が溢れた。
鼻血以外はまったく問題なく、どう見ても健康な犬だった。
癌だけど、きっとシロは健康だと思った。
ツヤツヤの白い毛
しっかりした筋肉
生命観溢れる目
力強い走り
どれをとっても癌患者どころか、老犬にも見えなかった。
実際、散歩をしていると
「2,3歳?」とか「5歳くらい?」と聞かれる(笑)
10歳近くもサバがよめるなんてシロは凄い(羨ましい)
そんな風に元気でいてくれることが本当に有難いと思った。
このまま寿命まで生きてくれるかもしれない・・・
サルと私はそんなふうに、思い始めていた。
続く・・・・
とら
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