【
前回のつづき】
泣いて泣いて 泣き疲れて
絶望の中にいた。
どちらからともなく
「美味しい物でも食べに行こう」ということになって
近所のステーキハウスに行った。
美味しい物=肉 という安直な考え(笑)
けれど、これが案外効果があって
美味しいものを二人で食べていると
絶望のほうを向いていた心の目が
少しずつ開いてきて また、前に向かって歩いていけることがよくある。
食事というのは 単に 空腹を満たすものでもなく
栄養を摂るだけのものでもないんだなと
改めて実感する。
鉄板の上でジュ~っと焼かれたステーキ。
いい香りと音で癒される。
しばらくは お互い さっきのことには触れず
「おいしいね」と言って 味わっていた。
やがて 本題へと入っていく・・・
そして 私たちは決めた。
『本土へ帰ろう』
ずっと 帰ることは「負けること」と思っていた。
あれだけの思いをして来たのに 尻尾を巻いて逃げ帰るように見られるのは恥ずかしかった。
だけど、 今のままでは何も変わらないとわかっていた。
先に進むためには いったん戻らなきゃいけないときがあるのかもしれない。
というより、それは戻っているんじゃなくて きっと進んでるんだ。
進むために 帰る。
周りに 『負け犬』と思われてもいい。
ううん、むしろ 負け犬でいい。
今、意地を張って このままを選んだら もっともっと年を取ってしまう。
『今 この時』 がこれからの人生で 一番若いんだから。
いろんな場所から 「帰ろう」とサインが出てるようだった。
ホントは少し前から わかっていた。
だけど気付かないふりをした。
でも、 気付かないふりをしたって 時間は進む。
それがようやくわかったのかもしれない。
それをようやく認めることができたのかもしれない。
それは本当に勇気のいることだった。
言ってみれば 沖縄に来るときより ずっとずっと 勇気がいった。
負け犬になってやろう。
勝つために。
そう思った。
今思えば 勝つとか負けるとか
そんなことは全然意味のないことだったんだけど
まだ今より少し若かった私たちは
そんな風に思っていた。
それが 精一杯だったんだと思う。
「笑い者になりに帰ろう」
そう決めるだけで 精一杯だったんだと思う。
【つづく】
とら
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