シロが初めて鼻血を出してから8ヶ月。
鼻腔内腫瘍とわかってから7ヶ月。
余命を超えて4~5ヶ月。
放射線治療は一度もしていない。
薬とサプリ、そして愛情だけ。
そんなシロにもついに大きな変化が起こった。
先日、いつものように散歩に行こうと思ってシロを見た。
すると・・・
口の周りが真っ赤だった。
今までと明らかに違う。
大量の鼻血。
ボタボタと血が地面に落ちる。
止まらない。
まるでどこかをスパっと切ったかのような出血だった。
びっくりする私にシロは申し訳なさそうに
一生懸命に したたる鼻血を舐める。
そして「どうしたの?散歩は?」という顔をしている。
口の周りだけじゃなく、手まで真っ赤だ。
(これは散歩に連れて行くとヤバイ・・・!)
そう思って先生に電話。
多分、パニクって話してたと思う。
思ったとおり、大量に出血している時は安静にする必要があるとのこと。
血圧が上がると出血が増える。
一時的に出血を止めるには
麻酔をし、ガーゼを鼻につめる処置をするとのこと。
とりあえず、サルが帰ってくるまで安静を選んだ。
安静といっても犬だ。
それも散歩に行こうとウキウキしていた時だった。
何とか説得を試みる。
シロは話したらわかるヤツだ。
犬なんだけど、必死に伝えるといつも伝わる。
「シロ、ごめんね。
鼻血がいっぱい出てるから今は行けない」
涙声になっていたと思う。
シロも何だか普通じゃないと気付いたようだ。
しょんぼりしながら座っていた。
そして、少しずつ大量出血はおさまった。
タオルが真っ赤になっていた。
このまま死んでしまうんじゃないかって思った。
とりあえず、部屋に戻り落ち着かせた。
さすがにシロもしんどいのか
しばらくしたらウトウトと眠った。
時々、苦しそうにむせて、辛そうな顔をして
そしてまた眠った。
覚悟がまたそこまで来ていた。
苦しそうなシロ。
「苦しいよっ」て私を見ている。
病気がわかってからこんなに苦しそうなのは初めてだった。
怖かった。何もできないことが悲しかった。
サルが帰ってくるころには、随分元気になっていた。
サルに一部始終を話して、二人で涙をこらえた。
泣くとシロが心配するから・・・・
翌日、シロはぐったりとしていた。
何とか朝ごはんを食べ、ずっと寝ているのだ。
散歩に行きたいとも言わずに。
いつもなら、私の周りをウロウロする。
それがその日は違った。
目の輝きもなく小さく虚ろだった。
まるでシロの抜け殻のようだった。
明らかに今までとは違う。
大量の鼻血はあれから出ていないけれど
元気はなかった。
そりゃそうだ。
あれほどの出血があったのだから。
それに、末期癌で余命を超えている。
生きていることが奇跡なのだから。
先生に新しい薬をもらった。
今までよりも強い血止めだ。
それが効いたのか
しばらくして元のシロに戻った。
おやつを欲しがるシロ。
「撫でて~」とお腹を出すシロ。
目がキラキラとしている。
シロらしさが戻ってきた。
薬の力でこうも違うとなると
本当にそろそろなのだろう。
薬はシロの症状を和らげるためであって
治す目的ではない。
癌は確実に進行しているのだ。
でも、それでもよかった。
たとえ
本当は進行していても
シロの症状を楽にしてくれるのなら
薬も万歳と思った。
先生曰く
副作用が出るほど生きる保証はありません。
だけどシロは今日も生きている。
ちゃんと朝ごはんを食べて
散歩も行けた。
嬉しそうだった。
後は薬の効き目との勝負なのだろうか。
どうか
どうか
シロが苦しまずに逝ってくれますように。
とら
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