【
前回のつづき】
私たちは あいかわらずバカみたいに 買い物デートにハマっていた。
ある朝、サルが何だか興奮して
「すごい発明をした!!」と騒いでいた。
バイトに向かおうとしている私に、一生懸命説明するサル。
どうやら、最近買った服を着るためのアイデアのようだった。
見せてもらうと
ふんふん。なかなかよくできている。
冗談で「特許取れるんじゃない?」とか言いながら私はバイトに行く。
この日がまたまた運命の転換日になろうとはその時はまったく思わなかった。
ただ、最近の楽しさで、何をやっても楽しい気分だったので
それがただ 幸せで
心がオープンになっているのかもしれなかった。
バイトから帰ると サルは試供品を作っていて
まだ興奮は冷めていなかった。
「まだやってるの?」と言って笑いながら
それでも、なんだかスゴイことのような気がしていた。
そして、次の二人の休みには特許庁の発明協会に足を踏み入れる・・・。
自分たちのバカさには今更ながらあきれるけれど
その時は かなり緊張していたのを覚えている。
昨日まで知らなかった世界に一歩入った気がした。
怖いような 居心地の悪いような・・・
だけど、たしかにそこにいつもあった。
今までは そこが何の施設かも知らなかった。
知らないから 知らなかった。
知ると、そこは 知っている場所になる。
そうやっていつも 冒険は始まる。
その施設を出た後
ふぅぅぅ~~~と二人で深呼吸をした。
張りつめていた自分から力が抜ける気がした。
新しい世界があるんだなと思ったとたん
一冊の本を思い出した。
それは、サルと「別居もどき」をしていたときに
父が貸してくれた 「ズレた本」だった。
私はなぜか興奮して 鳥肌が立った。
必死で説明するも、サルには伝わらず
そのまま本屋に行くことにした。
そこそこ売れている本らしく、堂堂とそこに売られていた。
興奮しながら説明する私に サルは「買ってみよう」と言った。
え???と驚く私。
というのも、今までのサルは本を読んで学ぶタイプじゃなかった。
ましてや、かなり分厚いソレは、どう見てもサルが読むものじゃない・・・
だけど、この流れを大事にしたかったので それを買うことにした。
この一冊が これからとんでもない人生に発展していくとは知らず ・・・・・
【つづく】
とら
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